■VOL.6
センサーを使った自動撮影装置による
屋外無人撮影
中田一真さん
特集、第6回目は「自動撮影」、ご紹介いただくのは中田一真さんです。
CONTENTS
■ ギャラリー GALLERY
視線(ホンドタヌキ)
自動撮影を始めたきっかけは、森の中で発見されたタヌキの溜め糞。
カメラを仕掛けると、夏には子ダヌキたちが写り、
秋には大人の大きさまで成長した姿が写った。
ところが、アナグマが勢力を拡大し、
アライグマが頻繁に出入りするようになるとタヌキはほとんど写らなくなった。
2010.11.25 Nikon D2X Nikkor35mmF2 ストロボ2灯
散歩道(ホンドギツネ)
年に数回、カメラの前を横切るキツネ。
行動範囲が広くて写る頻度が低いのか、
巧妙にカメラを避けているのか。
それが知りたくて、少しずつ調査範囲を広げている。
2013.12.24 Nikon D300s Zoom-Nikkor28-80mm F3.5-5.6D ストロボ2灯
争う(アライグマ)
自動撮影の面白さは、何が写るか分からないこと。
この争うアライグマもそんな1枚。
秒1コマ、シャッターが切れるよう連写速度を設定してあり、
1秒おきにアライグマの争いが記録されていた。
この後、左の個体が右の個体に噛みつき攻撃。右のが左のをヘッドロックする。
2013.11.1 Nikon D2X Nikkor24mmF2.8D ストロボ2灯
倒木を渡る(テン)
倒木を渡るテンが撮りたくて、
秋になると臨時の自動カメラを仕掛けること3年。
ついに念願がかなった。
1年目はセンサーの感知範囲を見誤って下半身が切れた。
2年目はテンが森からいなくなった。
そして3年目、テンが帰ってきて、写ってくれた。
おそらく前とは違う個体。毛並を光らせたくて、倒木の後ろから一灯当てる。
2015.1.17 Nikon D7000 Nikkor35mmF2 ストロボ2灯
家族(ニホンアナグマ)
毎夏、ニホンアナグマの親子が自動カメラに写る。
近くの巣穴を利用しているらしい。
今年(2015年)初めてトレールカメラを3ヶ所の巣穴に設置してみた。
動画は情報量が多く、親子は母子であること、
一ヶ所の巣穴にとどまるのはせいぜい1日か2日であること、
昼間でも結構動いていること等、いろんなことが分かった。
トレールカメラの観察で得た知識は、スチール撮影にも活かせる。
2014.7.25 Nikon D300s Zoom-Nikkor28-80mm F3.5-5.6D ストロボ2灯
秋色の溜池(カケス)
雑木林の木々が葉を落とし、溜池の水面が落ち葉の黄で染まる頃、
山からカケスが下りてくる。
警戒心の強い鳥だが、自動撮影なら、カメラのすぐ前まで平気で飛んでくる。
2014.11.27 Canon EOS Kiss X2 SIGMA15mmF2.8EX FISHEYE ストロボ2灯 トリミング
狩る(ササゴイ)
夏鳥として渡ってくるササゴイも水辺の自動カメラの常連だ。
ピカピカ光るストロボにも慣れて、カメラ前の浅瀬で漁をする。
これまでに、カナヘビ、オオクチバス、アメリカザリガニを捕らえたシーンを記録した。
この1枚は大きなアメリカザリガニを捕らえたところ。
鋭い嘴がザリガニの殻を貫いている。
2014.1.27 Canon EOS Kiss X2 SIGMA15mmF2.8EX FISHEYE ストロボ2灯
■ インタビュー INTERVIEW
①自動撮影装置を使って撮影すること
◆始めに中田さんがなぜ、自動撮影装置を使って撮影されるようになったのかを伺いたいです。
中田:地元のボランティア活動のひとつでして。私は元々、鳥の写真をずっと撮ってたんですが、ある時、自治会のくじに当たっ
てしまって、役をやることになったんです。その時に自治会の方といろいろ面識ができて、そして鳥の写真を撮っているということが知られる事になってしまいました。近所の公園が手入れされずにボウボウとなっている、周りの住民も積極的に利用していない、割と見向きもされない公園になってしまっているという事に問題意識を持った自治会の人が、「ここをちゃんとしよう、地域で盛り上げるんだ!行くぞ!」というような話になって、その「いくぞー!」の中に私も巻き込まれてしまいました。「あんた、鳥の写真撮っとるんやろ?」、「他の写真も何でもとれるんちゃうか?」と言われて。それで「あんたは今日からここの生き物撮影係や。」と任命されてしまったわけなんです。
◆身近な町内のボランティアが発端だったのですね!
中田:となると、やっぱり引き受けたからにはちゃんとしないといけない。鳥や虫や植物などは普段からずっと撮っていたんですけど、動物だけは撮り方が全然わからなくて。普通に構えて撮れるような相手じゃないというのは、わかっていました。ちょうどタヌキの糞、溜糞があって、それを、森を手入れする仲間が見つけて、「ああ、おるんや。」と。「おるからには撮らなあかん。」と。「さてどうしよう。自動カメラで撮る。」そういう風に思ったんです。タヌキの糞を見たその日に家に帰って、すぐにインターネット検索して「どうやったら撮れるかなぁ」というのを調べました。それで出てきたのが一番簡単そうなこれ。「人感センサー」ってやつです。防犯用のセンサーですね。普通はここからコード出して電気やチャイムにつないで使うもの。これが一番加工しやすそうで、「これだ!」と思いましたね。電気の知識が小学生レベルなんですよ、私は。豆球を光らせることぐらいしかできないんです。そんな私でもできそうだという事で、さっそくこれを取り寄せて、カメラにつないだりしてやってみたのが始まりです。
②撮影する
中田さんの自動撮影装置の重要なアイテムに、人感センサーをつかったスイッチ(レリーズ)と、長いコードのストロボシステムがあります。ご紹介していただきました。
人感センサーを使う。
◆人感センサーによってその前を動物が通るとシャッターが落ちる仕組みですね?詳しくお聞かせください。
中田:カーポートなんかで人が通るとぱっと電気がつくことありますよね。
◆あ、ありますねそういうこと。
中田:あれと全く一緒なんです。動物が前を通ると温度の変化をセンサーがキャッチして電気が流れるという仕組みです。
◆それが、シャッター(スイッチ)になるわけですね。
中田:タイムラグがあるんですぐには切れてくれないんですけれど。まあ、その辺は余り気にしないで、センサーの感知範囲で調整するようにしています。この辺に入ったら動くようにして、真ん中に来たら切れるくらいのイメージで現場に設置しています。
◆センサーがキャッチする範囲はどの位の角度があるんでしょうか?
中田:結構広いんですよね。反応すると、これ(センサーの真ん中)が赤く光るんですよ。範囲を狭めようとしたら、前面のカバーにビニールテープをぺたぺたと貼って覆ってしまえばいいんです。
◆それで角度が狭くなるのですか!
中田:ええ、そうなんです。現場に置いてみて調節しています。
◆どの位、動物が近寄ったら反応するのですか?
中田:7~8メートルはいくんじゃないかな。
◆そんなに遠くでも反応するんですね。
中田:あんまり遠いと、小さくしか写らない事になったり、被写体が切れてしまったりするので、調節します。むしろ、下加減に向けます。センサー固定用の取付具に取り付けて、前がくりぬいてある箱に入れて、透明な板をはめ、下向きに角度をつけて固定します。丁度よい距離に来た時に反応するようにするんです。
中田:このセンサーには外部の機器をつなげるようにプラス・マイナスの端子があるので、簡単につなげられます。
◆伊:もともとこれは何をするための端子ですか?
中田:単にプラグをつなげるためのものですね。これは元々市販されている線ですよね。これをつないで、カメラのリモート端子につなぎます。このセンサーの良いところは、スイッチが入っている時間が2秒から60秒まで調整できるようになっているところです。2秒に設定しています。2秒間ずっと押しっぱなしになるのでその間に連写とかもできるんです。このセンサーがないとダメなんです。ぱっとつくだけのセンサーだったら、ストロボが立ち上がるだけでシャッターまで切ることができないので、これで助かりました。
◆市販されているのですか?
中田:「市販されていた」というのが正しいです。これ、実は絶版になってしまっています。再販していただけたらありがたいんですけれど。
◆機材名はなんというのですか?
中田:「デルカテック ユーセンサーワイド検知部PS-15B」といいます。
ストロボ
◆ずいぶん長いコードですね!
中田:一応、2灯を光らせるのを基本にしておりまして、短い方はこの中(ボックス)に入れています。センサーはカメラの上方向に、ストロボのコードの短い方は、カメラの左横に配置しています。そして、もう一台のストロボはカメラから離して反対側に持って行きます。
◆そのコードは何メートルくらいあるのですか?
中田:3メートルくらいあります。これ以上長いと、片方、こちらの短い方が光らなくなるんです。電圧が下がるんだと理解しています。いろいろと実験してみてわかりました。
◆限界値が3メートルなんですね?
中田:そうなんです。切り詰めていってわかりました。だいたい3メートルあれば、狭い獣道でも、反対側から光をまわして撮影することができます。長い方がメインストロボ、短い方は影を起こすために正面から軽く当てるように使います。
システムを作動させてみる。
◆一連のシステムを実際に作動させるところを見せてください!
中田:このセンサーが感知すると、2~3秒の間に3コマ切れるように設定してあります。コマ速変換ができる機種とコマ速変換できない機種がありますので工夫が要ります。
◆多く連写した方が一見良いように感じますが、その3コマという事には何か理由があるのですか?
中田:ササゴイのように動きのあるものに対しては有効ですが、小鳥など、光り過ぎて驚いてしまうんで、自然な表情を撮影する事ができない場合が多くなるのです。
④ピントについて
◆ピントについてはいかがですか?
中田:もともと置きピンです。動物が通るコースをある程度予測しておかないとピンボケ写真の量産になります。
◆どのような工夫をされているのですか?
中田:倒木の上を歩くという習性や、道のうんと狭くなったところはピントの合う確率が高いです。いろいろな動物が歩くようです。そういうところを狙ってピンポイントで置いておきます。
◆伊知地(以下:伊):昔はセンサーをさえぎった時にシャッターが落ちるようにっていうのがありましたけれど。
中田:光電管ですね。
◆伊:ええ、光電管。でも、それだと遮る必要が無いんですね。
中田:光電管だとなんでも写ります。葉っぱでも雪でも雨でも、シャッターが落ちる。雨なんか降ったらとんでもないことになります。
◆バシャバシャ、シャッターの嵐に!
中田:そうそう(笑)
◆伊:温度を感知するから動物にはもってこいですね。
中田:昔、フイルムで撮っていた時には光電管を一応持っていたんですけれど。で、私の経済力では無理だと。
◆それを24時間稼動させるわけですか?
中田:はい。このセンサーは電池が長持ちするんです。一年間は放っておいて電池交換しなくても持ちます。単3エネループ2本ですが、持ちますね。
⑤屋外に設置されているカメラは7台
◆何台か設置されているのですよね?
中田:スチールが最初一台だったんですけれど、こっちで撮れたらあっちはどうだろうって、どんどん増えていっちゃったんですよ。今、スチールが4台。動画用の小さいトレールカメラが3台。合計7台。これらを放置しています。
◆その7台はどのようなカメラを使ってらっしゃるのですか?
中田:スチールの方、1号から4号と呼んでいまして、1号機はD2X。昔メインで使っていたカメラです。高感度が使えないんでお払い箱になった時に、放置するなら良いだろうと思って回したんです。
2号機はD300S。これも昔の結構いいカメラなんですけれど。これは使っている時にですね、600ミリのレンズをつけて撮っていた時、三脚ごと倒しましてですね、レンズが鏡筒から真っ二つに折れて、カメラがちぎれて飛んでいった事があったんですけれど。
◆えええ!ソーゼツですね。
中田:そうなんです。泣きそうになりました。でも、レンズは奇跡的に直ったんです。だけどカメラは直らなかった。壊れてしまって、修理不能で帰ってきたんです。でも、動かしてみるとマニュアルで動いたんです。オートフォーカスとかオートの露出とか全部使えないんですけれど、マニュアルだけ動いたんですね。マウントもかなり怪しい感じでしたが、広角だったら使えるだろうという事で、今一番危険な箇所に置いています。
3号機はキヤノンEOSkissX2。水際のカメラです。カメラの数を増やそうと思った時にイオスキスは中古で安く買える。で、ジャックも簡単そうだったんで買ってみました。買ったは良かったんですけれど、ストロボが上手くいかなかったんです。ある時、ニコンのストロボをくっつけるワザを見つけて、それからはキヤノンも使えるようになりました。線を引っ張って使えるようにしてあります。
4号機はD7000。倒木を歩く動物用。とにかくテンの写真が撮りたかったんです。秋になるとその倒木をテンが歩くというのがわかっていました。そこで、秋になった時にD7000を仕掛けてみました。D7000は、普段使いのカメラで、本当は臨時で置いておいたんですけれど、なかなかテンが写らないので、いつの間にか常時放置されています。2,3年越しでやっと思ったように撮れてそれが去年の秋冬の事でした。
トレールカメラ3台 動画撮影のカメラで、主に調査用です。アナグマの巣穴の前に仕掛けてある。スチールだとストロボを光らせますが、巣穴前でストロボを光らせるのは具合悪いかなと、今年は調査のつもりで撮影しています。
⑥フィールドにて。
⑤でお話に出た、7台の装置で「どのように撮影されているか」をうかがいました。図鑑「カタツムリ」の写真家 武田晋一さんが、中田さんのフィールドを訪ね、その時に撮影された画像を見ながら、教えていただきました。
◆ここがフィールドでらっしゃるのですね。
中田:そうです。近所の公園です。
中田:こういう風に街中にあります。
中田:普段持ち歩いている機材。暑い時期は超望遠を持ち歩くのがイヤになって、最近はニコン1に、望遠ズームをくっつけて撮っています。
◆だいぶ軽そうですね!
中田:ここでは鳥はまず撮れないとわかっているのですが、もし何か出てきた時に撮影したいので、持ち歩いています。
◆池ですね!魚とか?
中田:今はブラックバスや鯉も泳いでます・・。アメリカザリガニもいっぱいいます。
1号機
中田:これが1号機です。これは縦置きにしています。D2Xはカードの抜き差し口がカメラの背面にあって縦置きにもってこいだったんです。電池を入れ替えるスペースを確保するだけでいいです。カメラの光軸をやや斜めにしてセットしています。ストロボのシューは中国製のもの。直接ストロボをカメラにセットできるので、外に出すコードは1本でよく、安上がりです。
2号機
中田:これは2号機ですね。本来はボックスを縦使いしたかったのですが、横にして使っています。
中田:向かって右がセンサーを出している窓、レンズは向かって左の窓から出てますね。丸い円は一回、アクリルのドームをつけて魚眼を使っていた名残りです。
◆これはツールボックスですか?
中田:そうです。くり貫きました。このために電ノコを買いました。あとはプラスチックカッターなども使って細工します。
◆接着剤は?
中田:内側からは接着剤で貼って、外側からはコーキング剤を使い、埋めています。
中田:長い方のストロボがこれですね。三脚につけて、クイ(園芸用)を地面に打ち込んでいます。そして、テープでぐるぐる巻きにします。ひっくりかえされないようにしてあります。動物がアタックしてきた時のために、それから、風でひっくりかえらないようにしてあります。
◆倒れたり、事故はあるのですか?
中田:ありましたね。一回倒れていて、そのそばをテンが歩いているのが写っていたことがあります。テンの仕業ではなくて、台風のせいだったのですけれど。
◆このポリのケースはどういったものを?
中田:100円のタッパーです。
◆この黒いテープは・・?
中田:ビニールテープです。武田さんに「こんなんでいいんですか?」って言われました(笑)。このタッパーは半透明なので、ディフュザーにもなります。
中田:どうしても作業スペースがいるんですね。電池やカードを交換するために手をいれたり、スロットのフタをあけるためのスペースが必要なんです。
◆これ、中はどのように固定してるんですか?
中田:中は穴をあけて、リベットネジで固定しています。真ん中に昔あけた穴のあと、ビニールテープでふさいで使っています。ここも、武田さんから「こんなんでいいんですか!」って言われました(笑)。
中田:あと、もう一つ。これ、古着を引き裂いて作った黒い布をマジックテープで固定しています。遮光用で、カメラが写り込んでしまうので、それを避けるために張っています。
◆武田(ロケ現場にて):レンズとくっつけたらどうでしょう?
中田:前面がアクリル板なので、レンズが当たったりするとキズがついてしまう。なのでわざとセットバックしてあって、レンズの交換やピント合わせができるようにしてあるんです。布をレンズの上にかけて反射防止にしているというわけなんです。配線はむき出しです。ボックスの中なので問題は無いです。
3号機
中田:武田さんオススメの水辺の3号機。(イオス)
中田:これは魚眼用になっていまして、私の箱の中では一番進化型のものです。向かって右がストロボ用の窓。左下がアクリルドーム付のレンズ窓。左上が、センサーの窓になります。最小限の切り抜きで作りました。
◆ここでは何が撮れますか?
中田:水場になっているので、小鳥が水浴びにきたり、アライグマがザリガニをとりにきたり、アカネズミがちょろちょろ走ったりします。
◆伊:保護色になってますね?
中田:そうなんです。
◆だからボックスが緑色なんですね!
中田:「盗む気がなくなるぼろさ加減ですね。」と、それも武田さんに言われました。みすぼらしいのがいいかんじです。
4号機(倒木)
中田:4号機は倒木の。写るのは、テンだけじゃなくて、野良ネコ、アナグマ、アライグマ、カケス、ヒヨドリあたりですね。
◆みんなこの倒木が好きなんですね。
中田:そうですね、通り道になってますね。
◆伊:ピントは倒木の上に合わせておくんですか?
中田:はい、そうです。倒木の上に合わせておきます。
◆ここはコードが長そうですね!
中田:3m以上ありますが、ここは上手く作動するんです。
◆ここであの逆光チックな写真が撮れるのですね。
中田:ビニールテープでストロボの光がもれないように幾重にもしてとめています。黒いビニールテープは便利で、何にでも使います。すごく活用しています。
トレールカメラ
中田:これモニターが無いんですよ。現場では何が写ってるか、わからないんです。家にもって帰って、パソコンで見ないと確認できないのが「玉に瑕」です。表示を見ると録画時間が何分か減っているので、「何かが写っている」というのはわかるんですが・・。
◆記録メディアは何でしょうか?
中田:SDカードです。扱いやすいです。
アナグマが放り出した石。それが三脚にあたり、カメラが揺れることも。
◆このトレールカメラの場合は照明はどうされているのですか?
中田:可視光線ではない、赤外線のライトが照射されて、夜は全部白黒で写ります。タヌキやアライグマ達、みんな巣穴を覗きに来ます。昼間は自然光でカラーで写ります。
◆電池がたくさん入っていますね!
中田:そうなんです。トレールカメラは電池がいっぱい必要なんです。8本入ります。動画は燃費が悪いので電池の減りが早いですね。
◆どのくらい持ちますか?
中田:ここでの写り方だと2週間は持ちます。一回だけアナグマがずーっと外に出っ放しの時があって、さすがに電池が切れたことがありますけれど。動画は作品というよりも生態の観察用です。
音に敏感な動物の撮影
中田:1回アナグマの巣の前にトレールカメラとストロボ無しのスチールカメラを置いておいた事があったんですよ。シャッターが切れた時にアナグマがどういう反応をするか。やっぱり音がすごい気になるみたいで「カシャン」と音がするとびっくりするんですよ。こりゃダメだと。それを見たときに音対策をしないとダメだと切実に思いました。
◆今はミラーレスなどで、静穏シャッターの機種も出ていますが・・?
中田:待機させられないカメラが多いですよね。多分どこかで電源が切れて(オートパワーオフ)しまう。それが叶ったとした時に、今度は電源を入れっぱなしにする為、電源の確保が難しい。毎週電池の交換に回るんですけれど、あんまり重いとそれも難しいんです。イヤになってしまう。
◆伊:電池は毎週変えられるのですか?
中田:はい。毎週です。データも回収します。
◆伊:どの位の時間がかかりますか?
中田:駆け足で行って2時間位でしょうか。
⑦動物を撮るということ。
中田:アナグマの家族とか、見ていて面白いですね。元々あまり知らないというのがあって、断片的にしか見た事がない。一瞬走ったところを見たとか、そのレベルだったんです。撮影していくことによって、より彼らを身近に感じるようになりました。こういった動画等を子ども達に見せるのが楽しみになっています。近所の公園にこんな動物がいるという事自体が子ども達にとっては驚きなのです。「子ども達に伝える」これが今一番やりがいがある事です。ぼくが子どもの頃なんて、こんな生き物がそばにいるなんて思っても見なかったですから。
◆貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。
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■ 人物紹介 PROFILE
中田一真(なかた かずま)さん
プロフィール
1966年広島県生まれ。会社勤めの傍ら、20年に亘る野鳥写真家としての活動を経て、現在は兵庫県三田市の中央公園を中心に里山管理に取り組むボランティアグループ「ごもくやさん」の生き物撮影係として、動植物撮影、自然観察会運営に取り組む。
日本野鳥の会会員。日本自然保護協会自然観察指導員。
■本
ニュータウンの森 中央公園のなかまたち
写真・文 中田一真
ごもくやさん
2013年10月
三田市駒ヶ谷運動公園、三田市中央公園にて販売中
Nikon Digitalで迫るネイチャーフォト入門
写真・解説:山口高志/菊池哲男/海野和男/武田晋一/中田一真/川口正志
編集・発行:山と渓谷社
2008年11月
BIRDER(雑誌連載)
2001.1-12「鳥は百薬の長」
編集・発行:文一総合出版
土木学会誌(雑誌連載)
2009.1-12「土木界隈 四季の鳥」
■写真展
1992.6 「季の彩、鳥のうた」大阪・文情アートフォーラム
1994.8 「季の彩、鳥のうた2」大阪・文情アートフォーラム
1995.9 「四季彩鳥」東京・オリンパスギャラリー
1998.1 「季の彩、鳥のうた3」大阪・文情アートフォーラム
2000.3 「季の彩、鳥のうた4」大阪・文情アートフォーラム
2015.3 「ニュータウンの森 中央公園のなかまたち」兵庫・三田市立図書館
2016.6 「ニュータウンの森のなかまたち」兵庫・人と自然の博物館
参考文献・HP等
■書籍
イマドキの野生動物 宮崎 学 著 農文協
中田:言わずと知れた自動撮影の第一人者の近著。自動撮影による作品が多数掲載されているほか、機材の設置状況も紹介されていて、光の当て方や機材をセットする環境が分かり、大変勉強になります。
BAT TRIP ぼくはコウモリ 中島宏明 著 北海道新聞社
中田:素晴らしいコウモリの飛翔写真が掲載されていて、こちらの本にも機材の設置状況が紹介されています。いつかはコウモリにも挑戦したいものです。
■インターネットサイト
生き物雑想記
中田:自動撮影に取り組み始めた当初、参考にさせて頂いたブログ。生き物全般の話が面白い。
自然環境保全のための周辺技術
中田:トレイルカメラメーカーのリンク集。
インタビュー:2015年11月25日 フィールド取材:2015年10月24日
監修: 武田 晋一
インタビュアー・文: 石黒 久美
物撮り・人物撮影: 伊知地 国夫・武田 晋一
ホームページ制作:石黒 久美
オブザーバー: 小檜山 賢二
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